PROlOGUE
親子が集まれるような場所にして欲しい。
というのがクライアント からの依頼でした。
三重県津市の中心部に位置する悠久の歴史を持つ古刹四天王寺。
当寺は数年前まで敷地内にて幼稚園を運営していたが、幼稚園の閉鎖より数年が経ち、
かつて園庭の一角であったスペースは時間の経過と共に雑然とした空間になっていた。
その空間を住職の依頼により「地域に開かれた親子の集まれる空間にする。」といった、
誰もが気軽に立ち寄れるスペースとしてリノベーションプロジェクトがスタート。
CONCEPT
“今あるものを最大限に活かして緑に囲まれた心地よい空間”
として生まれ変わらせる。
数年前まではツリーハウスのような子供のための空間として、
活気に満ちていた空間であったその場所は、今は賑わいもなく雑然と周囲の環境から取り残された一角となってしまっていた。
その場所を「地域に開かれた親子の集まる空間」をキーワードに友人、旧友、ペット、恋人同士など様々な人が気楽に休みにこれる場所となるよう、空間の価値の再構築が必要とされていた。
DEVICE
1点は既存の空間に存在した樹木、巨石水鉢、景石などの素材の価値を
十分に活かすようにして再利用する事。例えば、10tの巨石水鉢は陽光の当たる場所に
再び据え直し、絶えず清らかな水(既存井戸の水を利用)が
筧から流れ出るようにしている。
2点目は植栽。いかに周囲になじむかを考えて敷地内に当初より植わっていたクヌギ・
桜を今回の植栽計画にも取り込むことにより景色をつなげています。
また、それだけでなくテラスを包み込むように大小様々の植樹で囲う事により
緑量の豊富な空間の演出をしています。
3点目は夜間照明。せり出したデッキ端部に照明を仕込み浮遊したデッキを表現し
夜間の誘導効果を高めると同時に利用シーンを増やすことを考えました。
FEELING
ここに集う人々同士の関わりこそが、
シテンノウテラスのデザインの本質です。
シテンノウテラスで周囲を取り囲む草花を植えるイベントを地域住民参加で行いました。
自分たちの植えた草花の様子をいつでもふらっと見に来て欲しい。
そのように考えたからです…
このテラスのデザインの本質は利用者が活用し、
人々がそこに集いそこで出来上がってくる関係性や絆です。
テラスを利用する事を通じて、
人々が関わり合いその関わりの輪がひろがって行くように願ってます。